関東周辺 子供と温泉だよ 2006年6月
 高野山と南紀熊野三山 2泊3日の旅


はじめに

 梅雨に入る前のこの時期に、数ヶ月前より計画していた高野山と南紀を訪れる旅行に行って参りました。
 今回の旅はツアーなどではなく、自分で飛行機とレンタカー、そして旅館の予約を取って、南紀へ行って参りました。このような時は温泉ソムリエの資格ではなく、旅行会社に勤務していた時の経験が役に立ちます。
 現地の移動に要する所要時間や駐車場など、皆様が今後同じような旅の計画を立てるのに役立つ情報を中心にお伝えしたいと存じます。

 南紀は小生に言わせて頂くと、まさに「陸の孤島」のような感じです。
 串本まで名古屋から特急で4時間30分、大阪からでも2時間30分はかかります。東京から名古屋まで約360kmの距離を新幹線で2時間でも、その先、串本まで約270kmなのに4時間30分(平均速度約60km)と、時間にしても倍以上かかる計算です。これでは羽田から石垣島に行くよりも時間がかかります。鉄道利用はあきらめました・・。
 自分ひとりなら夜行バスなどの手もありますが、家族同伴の旅行ですので、残された飛行機利用にしました。当初は南紀白空港を使用する事を考えましたが、便の時間も悪く関西国際空港を利用する判断に至りました。関空なら南紀白浜よりも航空運賃も少し安いですし、高速道路に直結もしていますので、レンタカーを使っての移動にももって来いです。
 それでは、旅の始まります。

1日目 関空→高野山→龍神温泉

 スカイマークの関空便が神戸に移転したみとにより、羽田→関空への本数が減ってしまい、良い時間の便がなく、また現地の時間にゆとりを持たせたいことから、大変な早起きになりますが、朝一番の羽田発6:50の便予約しました。
 関空に朝8時過ぎに降り、予約していたレンタカーを8時30分に借りました。
 昔、関空のレンタカーを借りる場所は専用カウンターがなかったように思えましたが、今回訪れた際にはきちんと整備されていました。
 レンタカーに乗り、まず最初は高野山に向かいます。高野山には昨年も訪れています。
 関空から高野山までは高速を使っても、一般道で進んでも時間に大差がありませんので、今回も一般道を使います。所要約2時間の行程です。土日など高野山までの上り坂が渋滞するとプラス30分程度要することもあります。
 高野山の標高は約900mで、下界より10℃も気温が低いこともあります。
 2005年秋にも1泊しましたので、たて続けになってしまいましたが、改めて大変幻想的な聖地でございます。

 高野山一番の見所である「奥の院」は写真撮影禁止で、ガイドブックなどでもなかなか写真つきでは紹介されていないのですが真言密教の最高峰として、ツアーでも必ず訪れる寺院です。
 奥の院に行くため、一の橋で同乗者を降ろして、レンタカーを無料の「中の橋駐車場」に止め、小生は中の橋から歩き、途中合流しました。自身3度目の訪問ですので、だいぶ歩く道には慣れたと申しましょうか、迷うことがなくなりましたが、初めてでも道が入り組んでいる訳でもなく、階段があっても急ではありませんので、散策しやすいです。
 
 その後、宿坊の本王院で精進料理の昼食を取りました。高野山の宿坊は前日までに予約が必要ですが、宿泊ではなく昼食だけも営業しているところがあります。宿坊と言っても、高野山の場合、平安時代から江戸時代まで公家や大名の寄進などを受けている由緒ある寺院ですので、本堂の中などはそれこそ地方の有名寺院以上に大変立派です。
 今回お世話になった本王院は1158年開基。戦国時代には常陸佐竹氏と関係があった島崎氏、常陸小田氏に組していたこともあった宍戸氏などにより盛大となり、桃山時代とされ大変な価値がありそうなふすま絵も、そのまま惜しげもなく大広間に飾られています。本堂も古い仏像から天井の装飾までそれは立派です。

 今回宿坊の昼食は、約2週間前、宿坊組合にFAXして予約を取りました。
 FAXを入れた後すぐに確認の電話が来て、数時間に予約が取れたと再び電話がありました。
 私の出身地は、常陸・宍戸氏の本拠地:海老ケ島城から近い筑波の出身。でも訪れるまで佐竹氏や小田氏に遠からずゆかりのある宿坊とは存じていませんでして、不思議な縁を感じました。

 高野山全体には117の宿坊があり。高野山全体で国宝21件、国の重要文化財174件とまさに文化財の宝庫です。宿坊もどこも立派な宿坊でして、ご開帳しないものや、門外不出などの貴重な仏像など、未調査の文化財も約5万点あると言いますので、すべて学術調査することができれば、国宝や重要文化財がごろごろとたくさん追加されると言われています。このような地は本当に守らなくてはいけませんね。

 昼食後は、定番の壇上伽藍と金剛峰寺を見学。金剛峰寺は真言宗(高野山派)の総本山です。平日だったこともあり、駐車場もすいていました。
 そして、14時頃高野山を後にして、最初の宿泊地「龍神温泉」に向かいました。

 2003年まで有料道路だった高野龍神スカイライン(国道371号)を走ります。途中護摩山スカイタワーの駐車場でトイレ休憩。紀伊半島の山並みが見えます。
 護摩山スカイタワーからは、道路も下り中心となり、龍神温泉の宿に15時到着しました。
 高野山から龍神温泉は飛ばして約60分の距離。観光バスなどに追いついても約80分といった所です。

 今回宿泊したのは龍神温泉街とは外れた場所ではありますが「季楽里龍神」を選びました。
 龍神温泉には紀州藩の藩費で作った、現代風に言えば役人専用であった有名な「上御殿」「下御殿」と言う格式ある旅館もあります。しかし、現在の建物はいずれも古すぎで事前調査では、古い部屋なので壁が薄くて隣の人の声が聞こえる、料金の割には料理が悪いなどと、評判がイマイチでした。
 良い旅館はないかなと色々探しているうちに、国民宿舎だったものが2004年にリニューアルしたとのことで、この「季楽里」を選んだわけです。料金も良心的です。
 部屋は料金の高い順から、新館・別館・東館とあります。今回はケチケチ旅行でしたので、中間の別館に宿泊しました。それでも、部屋は新しい感じがして、キレイです。少しお風呂が遠くなりますが、新館にしなくても別館で問題ありません。
 自動販売機のジュースは120円と良心的。ビールは少し高くて350円でした。
 食事は夕・朝ともにバイキングですが、安心な食材を使用しているとの事。ごはんからおかずまで大変おいしく頂きました。自宅でも農家から直接購入している、おいしい白米を食べていますが、それでもここの白米はおいしかったです。きっと水が良いのでしょう。鹿肉を使った料理など、特色もあるバイキングでした。
 温泉は日本三大美人の湯との宣伝文句の割には、PH8.4と、そんなにPHが高くないので、あまり期待はしていなかったのですが、入ってビックリ。肌がつるつるになる本当に美人の湯です。無色透明の大変泉質の良い温泉でした。

2日目 龍神温泉→熊野本宮→熊野速玉大社→神倉神社→那智の滝・那智大社→南紀勝浦

 この日は距離的に少し強行軍の為、龍神温泉を早めの朝9時に出発。
 旧道を通って、龍神温泉の中心部を通過し、龍神温泉の雰囲気を味わいつつ中辺路を目指します。途中、日高川には何本も「つり橋」が掛かっていました。人が渡るための小さなつり橋ばかりです。
 ほどなく中辺路を通過して熊野本宮大社に行きました。龍神温泉から熊野本宮へは約60分で到着。道路はかなりすいていましたので、普通は80分みた方が良いです。

 大社の近くはもっとお土産物屋さんや、駐車場はこっちなどの看板などで賑わっているのかなと思いきや? 失礼かも知れませんが予想に反して、場所が良く分からず行き過ぎてしまい、Uターンしました。
 神社鳥居の左側に小さい駐車場があります。この日は平日の朝10時くらいでしたが既に満車でして、隣の広い駐車場があり、何かお土産屋さんの駐車場のようでしたが拝借して参拝しました。
 杉木立と「熊野大権現」と染めた幟(のぼり)に囲まれた石段約130段をせっせと登ると立派なお社が見えます。

 もともとは大斎原(おおゆのはら)と言う熊野川の中洲に鎮座していましたが、明治22年の大洪水にて流失、現社の山の地に遷座しています。現在の本宮大社の8倍の規模を誇っていたと言い、流失して復元されていない社殿も多数あります。約2000年も長い間、中洲にあって洪水に会わなかったのに、明治に入り大洪水にあっと原因は、近代日本が急激に山林伐採などを行い、人災を引き起こしたと容易に推測することができます。当時は十津川の村々も土石流で大被害だったとの事です。
 長い間、自然の神様と崇拝してきたにも関わらず、自然破壊を行い、守ってきた多くの社殿も喪失した。本当に人間はおろかな生き物です。神社にて神様に願い事をするのではなく、神様に謝る必要がありますね。

 ちょうど、まもなくサッカーW杯ドイツ大会と言うことで、あっちこっちに「がんばれ日本代表」ののぼりやポスターが見えます。なにしろ、熊野三山のマーク「八咫烏」(やたがらす)は、日本サッカー協会のあのJAFマークに使われているカラス様です。日本に初めて近代サッカーを紹介した中村覚之助氏に敬意を表し、出身地である那智勝浦町の那智大社の神使である八咫烏をデザインした訳です。

 後からわかった事ですが、熊野本宮の参拝方式は第三殿<証誠殿>→第二殿<速玉宮>→第一殿<結宮>→第四殿<若宮>→満山社の順番に参拝するのが正しいとの事。社殿レイアウト的には「3・2・1・4・5」の順に中央から左、そして右に、という順番になるそうです。確かにそんな感じでお参りされていた方がいらっしゃいました。
 社殿の撮影は禁止ですが、個人の記念写真ならOKです。

 本宮から新宮までは約50分。大社が見えると左側に駐車場があると表示がありました。駐車場は無料です。ただ、駐車場はそんなに大きくない為、土日は混雑するかも知れません。

 新宮の熊野速玉大社は129年にこの地に社殿を造営したと言われています。水の神・速玉大神と縁結びの神・牟須美大神を主祭神とし、熊野第一の伝統を誇る神社です。
 熊野十二社大権現を名乗るものの、実はここには熊野三神に加え、天の神、地の神、恵比寿神も含め、16もの神様が祭られています。
 1883年(明治16年)の打ち上げ花火により社殿が全焼しましたが、1967年(昭和42年)に再建され現在に至っていますので、建物は新しく感じます。
 参道の中ほどにある「なぎの木」は、平安末期に熊野三山造営奉行を務めた平重盛(清盛の嫡男で維盛の父)の手植えと言われておりれ、幹周り6m、高さは20mを超え、なぎの木としては日本最大で国の天然記念物です。
 速玉大社は全国3000社ある熊野神社の総本宮です。例えば沖縄県の神社のほとんどは熊野神社と言うことから「海」が密接に関係していたものと小生は感じています。
 速玉=速い球 ということで、最近は野球選手、特に投手の参拝が増えてるらしいです。
 神宝館には、室町時代に皇室と足利義満公の奉納と伝えられる古神宝類が展示されています。今回は時間がなく断念しましたが、古くて貴重なもの=国宝が多いですのでお勧めです。神宝館入館料は500円(9:00〜16:00)。
 そして、ほど近い神倉神社を目指しました。

 神倉神社は今から2000年以上前に熊野三所権現が最初に降臨せられた元宮と言われています。要するに熊野三山に祀られている神々は、まず初めにこの場所に降臨したと言うことです。その為、神倉神社を旧宮と称し、西暦129年に新設した近くの速玉大社を新宮と称します。新宮は約1900年前に新しくできた神社なので新宮なのです。
 神倉神社は熊野速玉大社からはほど近く、徒歩15分ほどで神倉山のふもとに着きます。
 しかし、ふもとから階段が500段以上あり、ゆっくり登って15分位です。この石段は、源平合戦における熊野水軍の功労に報いる形で1193年に源頼朝が寄進したと伝えられており、自然石を組み合わせて積み重ねた「鎌倉積み」と称します。お祭りの時は急な石段を一気に駆け下りるとの事。
 他の熊野大社をすべて見学される場合、神倉神社は歴史が最も古い参拝場所、日本国内でも最古の部類に入りますので欠かせません。
 天狗伝説もある神倉神社のご神体は「ゴトビキ岩」(写真)と言うヒキガエルに似た岩です。麓から約60m高い場所にあり、日本書紀にも出てくる有名な岩です。聖地としては速玉大社よりも遥かに古い歴史をもっているものと思われ、ゴトビキ岩の下からは弥生時代の銅鐸の破片などが発掘されています。この地に人が住み始めた縄文時代、神道や神社などというものが存在する以前から、ゴトビキ岩は自然の神として崇拝されていたと考えるのかが自然ではないでしょうか?
 ふもとには現在小さな川が流れています。昔はふもとが海岸線だったのではないかと容易に推測できます。
 神倉神社には駐車場はありませんので、速玉大社の駐車場から徒歩で行くか、駅から徒歩やタクシーで行くなど必要です。
 御朱印帳は、速玉大社で「神倉神社の分もお願いします」と言うと、速玉と神倉と両方書いてもらえることを最後に付け加えます。

 新宮の神倉神社を後にして、那智の大滝に向かいました。車で所要時間約40分程度だったと思います。那智の大滝入口のカーブを曲がって土産物屋先の有料駐車場(500円)に車を止めて、歩いて滝に向かいました。滝までは駐車場からゆっくり歩いて徒歩約10分位です。階段を下って行くと、ゴーと滝の音がだんだん大きくなります。
 那智大社まで車で行き、歩いて滝にも行けますが、那智大社から滝までは40分の山道になりますので、現代人は滝の近くに車を止めるほうが懸命です。
 那智大滝(なちのおおたき)は一般的に「那智の滝」と言われ、古くから信仰を集めた滝です。落差133mは日本一です。滝じたいが那智大社のご神体となっています。
 滝じたいを見るのは無料ですが、ちょっと先まで入る滝前展望所は有料エリアで確か大人300円だったと思います。滝の水しぶきは延命長寿に御利益があるといわれていますので、時間と料金を惜しまないで行きましょう。
 6月初旬でしたが、滝の周辺は湿気が多く生息に適しているらしく「蚊」が多く飛んでいました。乳幼児を連れている場合は虫除け対策が必要に感じます。昔の方は、よくこんな蚊が多いところで修行されたなと感心してしまいます。

 那智の滝を見て、車に戻り、那智大社の駐車場を目指します。駐車場は滝の駐車場からすぐで、300台収容と混雑はしない模様です。
 料金所は那智山スカイラインも兼ねていますので、料金所で「駐車か有料道路か」と聞かれます。駐車料金は500円だったような気がします。
 問題はバス終点でもあるこの駐車場から那智大社まで、熊野三山で最長の参道でして、しかもほとんどが階段で470段もの石段を歩き普通で徒歩約15分の距離。小生は小さな子供づれだった為、約20分位歩くことになりました。参道の階段沿いには小規模なお土産屋さんが並んでいますが、なんと「那智山郵便局」もありました。郵便局はお客さんもなく、すごく暇そうです。ただし、道路は階段なのでゆうパックなどの重たい荷物を運ぶのに大変そうな場所でした。
 標高約500mにある社殿は、かつては大滝の近くあったらしく、317年(約1700年前)に現在地に遷されたと伝えられています。その後、平重盛が造営奉行となって社殿を整えましたが、戦国時代に織田信長の焼き討ちにあい、のち豊臣秀吉が再興。江戸時代に入って享保年間(1716〜1736年)に徳川吉宗が大改修し、昭和10年にも大改修され本殿は国の重要文化財となっています。

 青岸渡寺は那智大社のすぐ横にありますので、是非訪れてください。創建は300年頃(約1700年前)とされています。こちらの本堂も、織田信長の焼き討ちにあったのを豊臣秀吉が1590年に再建した桃山様式の建築で、国の重要文化財に指定されています。
 三重の塔と那智の滝が一緒に写っている写真を良く見ますが、その写真を撮れるビューポイントもあります。

 そして、那智大社の駐車場より下には木々に囲まれた古道「大門坂」が現存します。本当は数時間程度、紀伊半島に点在する熊野古道を楽しみたいところでしたが、2歳の子供がいるのと2泊3日の旅程の為、ここの大門坂だけを訪れました。
 那智大社に続く大門坂は、全長約500メートル、高低差約100メートルの石畳の道で徒歩25分程度の距離です。
 登るのは現代人にとってきついので、下るコースで家族に楽しんで頂きました。
 小生はバス終点の駐車場(お寺前駐車場)から、麓の大門坂駐車場まで車を回送することに。同乗者の家族は那智大社駐車場から歩いて大門坂を下って頂きます。坂の両側には古い杉の木などが繁り、歴史を感じる古道です。
 お寺前駐車場のバス停から大門坂ずっ〜と下ると、麓のバス通りに出ますので、新しく新設された大門坂茶屋付近の駐車場まで約25分歩いてもらいます。
 時間がない場合には、途中のカーブ(下から2個目のヘアピンカーブ)付近にも車を一時停止できるスペースがありますので、そこで車で拾い、時間を短縮する事もできます。
 小生は車で道路を下る途中、そのヘアピンカーブの路側帯に車を止め、数mだけ大門坂を楽しみましたが、それだけでも充分気分を味わえ、大変満足できました。
 運転手さん自身も大門坂を完全制覇する場合は、大門坂手前の無料駐車場に車を止めて、路線バスで那智の滝→滝から青岸渡寺へ登り→那智大社→表参道を下り→大門坂と歩くのが効率が良いです。路線バスの時間は予め熊野交通HPで調べておきましょう。

 2日目の宿泊地は、那智の大滝から約40分の距離にある紀伊勝浦温泉で予約済です。
 昭和30年代、新婚旅行のメッカとして数多くの旅館が建ち、源泉も100以上ある温泉地です。
 紀伊勝浦には有名な旅館が多いです。少しご紹介します。

 「ホテル中の島」は、「島」全体がホテルになっており、船に乗ってチェックインする温泉宿です。温泉旅館としては恐らく世界で唯一「島」なのではないでしょうか? 海のすぐ近くにある露天風呂も有名です。

 南紀を代表する「ホテル浦島」は3000名宿泊の大規模旅館で、狼煙半島全体を敷地としていますが、旅館までの道路が無いことからこちらも船でチェックインします。館内の「忘帰洞」「忘帰洞」と言う、海が見える自然の洞口温泉風呂があり、大正時代には、元和歌山藩藩主である徳川頼倫が訪れた名勝地として道路地図にもよく記載されている程です。これらを含めて6箇所の温泉浴場やプールなど、設備も充実しています。

 今回は2歳の子供同伴でしたので、館内の移動を考慮して、浦島と中の島は断念し、「湯快リゾート越之湯」を予約しました。ここは土日は数ヶ月先まで常に「満室」と言う人気旅館です。その理由は1泊7800円と言う低料金にあります。土日に宿泊しても、お正月に宿泊しても料金は変わらない7800円です。
 越之湯はもともと昭和天皇も宿泊した老舗旅館でしたが、2002年に倒産。2005年から現在の会社が営業再開することになり、一部改装し新料金でオープンしています。中の島や浦島のように施設がとてつもなく大きくないので部屋から温泉に入るのも苦にはなりません。

 さて、越之湯の感想です。色々と旅館の前評判を調べましたら、かなり評価が良かったので、期待しすぎていたのか、前泊した龍神温泉の宿が良すぎたのか、ちょっと想像よりも劣りました。でも、それは部屋の状態=使い古されている感じがしただけで、他の温泉設備、食事やその他サービス面に関しては全く問題ないどころか良心的だと強く感じます。
 自動販売機のジュースも120円。ビールも260円、500mlは300円と良心的価格でとても良心的です。
 バイキングの料理でも、いくらのお寿司やマグロの刺身、甘エビ、てんぷらなど食べ放題。幼児用の食器プレートも置いてあります。
 チェックインは部屋の準備ができ次第、翌日の部屋使用は昼12時まで、館内にはチェックアウト後でも、チェックイン前でも自由に館内に滞在することができ、時間を潰すにも温泉だけでなく、マンガがある大広間、卓球なども無料、昼間はカラオケルームも無料と、囲碁・将棋も当然無料と無料サービスは国内最高レベルです。
 それらを考慮しますと、価格と比較した場合、当然かなり高い評価になります。
 ビールがサントリー・モルツだったのも小生にとってはうれしい所でした。

 宿泊した越之湯最大の特徴とも言って良い「らくだの湯」があります。館内にはありません。温泉まで道がありません。船でしか行けない海辺の秘境温泉です。渡船料金は宿泊者は割引の700円になります。干潮でなければ、旅館より直接船が出ます。干潮の時は歩いて5分くらいの清丸渡船乗り場に集合時間までに移動します。船は漁船のようなタイプで、普段は釣り人を渡したりしている船のようです。雨が降っている場合は傘も必要ですし、海が荒れていると欠航になります。

 小生が宿泊した6月は夕方2本、翌朝2本程度しか船はでていないようです。越之湯チェックインの際に船予約をフロントでして下さい。
 らくだの湯は単純硫黄泉で無色透明。洗い場などは一切ありません。更衣室は男女あり、温泉は裸禁止の混浴です。
 越之湯からは船で5分くらいです。乗船前に湯あみ着(女性は透けない浴衣のようなもので、男性はトランクスパンツ)を無料で貸してくれますので、女性でも安心かと存じます。もちろん、心配な方は水着を持参しても良いです。

 湯船は、熱めと温めの2つの源泉で適温にしたかけ流し100%です。
 らくだの岩は観光名所でもありますので、観光船もらくだの岩までやってきて、温泉に浸かりながら、観光船に手を振る状況も発生します。
 約1時間後に渡し船が再び来て、それに乗って帰りますので、賞味45分程度の入浴時間となりますが、ちょうど良い時間です。
 私が訪れた際は波も比較的穏やかで、ほとんどゆれずに渡ることができました。普段はもう少し船ゆれそうです。

 このように船でしか行けない温泉は初めて入る経験でした。とても気分が良いです。普段男女別と温泉で家族一緒にならない2歳の娘や家族とも一緒に入浴でき大変良い思い出になりました。
 なお、らくだの湯には越之湯に宿泊しなくても、日帰り入浴と同じように1500円(湯あみ着付)で往復できます。ただし、朝と夕方しか船は出ませんし、前日か当日1時間前までに予約をした方がベストです。船の運航は清丸渡船が行っていますので、越之湯に宿泊しない場合は、清丸渡船(TEL0735-52-5574)に電話予約します。清丸渡船の船乗り場は車を止めるスペース十分あります。

■3日目 南紀勝浦→

 朝9時頃、南紀勝浦を出発し、大地を車で走ってから潮岬を目指し海岸線を走行します。梅雨に入る最後の晴天のようで、海がとてもキレイに見えます。
 しばらく走って、串本が近づくと「橋杭岩」(はしくいいわ)が見えてきます。海岸から大島に向かって約850m一直線に渡って大小40余りの奇岩が林立しており、国の名勝・天然記念物に指定されています。
 南紀勝浦方面からの場合、橋杭岩を通過したあと国道沿いに無料駐車場がありましたので、止めて写真を撮りました。

 その後、潮岬に行きました。灯台の有料駐車場に車を止めて5分位歩くと潮岬灯台です。潮岬灯台は江戸時代にアメリカとの条約で国内8箇所に設置した灯台の1つで、歴史があります。入場料は大人150円です。灯台の展望台に登ることができます。
 海は交通の要所の為、左から右からと大小の船舶が航行しているのが見えます。

 潮岬を出発し、白浜へ向かいます。途中、道の駅でトイレ休憩しました。
 勝浦から白浜までは、所要約2時間30分といったところです。渋滞はありませんが、工事や観光バスにあたると少し遅くなるかも知れません。

 南紀白浜でオススメなのは三段壁です。海にそびえる高さ50〜60mの絶壁になっています。三段壁駐車場から3分程歩くと三段壁に着きます。階段などはありませんので、お年寄りでも観光できます。
 三段壁には「洞窟」があり、洞窟に行けるエレベーターは大人1200円です。少し高いと思いましたが、ここまで来たのだから乗りましたら、行った甲斐はありました。
 三段壁の展望台近くの建物からエレベーターに乗り、36m下の洞窟まで下がります。
 洞窟内は 昔はスズを掘っていた言う坑道も歩き1周できるようになっていて、約200m歩きます。起伏はほとんどありませんので、こちらもお年寄りでも大丈夫です。
 また、洞窟内には温泉が染み出ていて、飲めるようになっていますので、驚きです。
 有名な熊野水軍も舟隠しとして使っていた海が見える洞窟には大きな波が荒々しく「ザブン」と大きな音をたてて砕けています。自然の驚異を体験でき、その光景は、ユニバーサルスタジオの洪水よりも迫力あります。
 ただ、激しい波が洞窟の岩にぶつかるような大変危険な場所でして、船を隠すのにはいささか疑問に感じます。波で船が岩にぶつかり壊れてしまいます。もともと平家寄りだったものの壇ノ浦では源氏に味方した熊野水軍は200隻を誇っていたと言いますので、その規模からしても洞窟は大変狭すぎますので、全部の船を隠すのにも向きません。仮に一部だけの船を隠してもあまり意味がないように感じました。
 案内には「番所」でもあったと記載されていますが、番所にするなら三段壁のてっぺんに設けたほうが、遠くの海まで見張ることができますし、それもいささが疑問です。
 もっとも戦国時代と異なり、昔の水軍の一部は「海賊行為」もしていたと考えられますので、波が激しく船が着岸しにくいこの洞窟は1500年以上前に海賊が宝物などを隠すのに絶好の場所として使っていたと考えるのが自然だと存じます。

 その後、近くの千畳敷に行きました。駐車場は無料です。土日は多少混雑します。
 時間がありませんでしたので、車を止めてちょっと見ただけで出発しました。

 ※今回は昼食時間の関係で、実際には次回紹介するいただき亭・とれとれの湯に行ってからこの三段壁・千畳敷へと実際には移動しています。

 食事ができるいただき亭と日帰り温泉施設のとれとれの湯が併設されている、蟹田漁業組合が運営するとれとれ市場の近くにある施設で、昼食と入浴の為寄りました。
 食事は新鮮な海の食べ物やお寿司などを中心としていますが、お子様カレーなどもあり、家族で食事できますし、厨房にも従業員さんが多いので、この手の料理の割には注文してから早く料理が出てきました。
 とれとれの湯は大人550円。小さめなロビーがあるだけで、休憩室などはありません。龍神温泉と同じ純重層泉で比較的つるつるになる温泉でしたが、お湯はカルキ臭がしました。お湯の安全の為やむを得ませんが、泉質は良いだけにちょっと残念ですが、白浜の湯も楽しめました。
 時間があれば海上釣堀もありますので、色々と楽しむことができます。
 ここから関西空港までは、休憩なしで所要約2時間です。

 余談ですが、いただき亭の敷地内には「ガーデンハウス」と言う宿泊できる「トレーラーハウス」があります。
 トレーラーハウスは固定されていタイプ。要するに大変高価なトレーラーを持っていなくても、トレーラーハウスに泊まれる体験ができると言う訳です。
 2名〜最大7名まで対応。エアコンも完備しています。バーベキューもできますが、食事はいただき亭を利用したり、温泉はとれとれの湯でよいですね。

総評

 高野山と南紀・熊野三山の旅、話が長くなってしまいましたが、もう少しお付き合い下さい。
 熊野は京都や奈良とまた違って、日本の原点のような自然信仰からきた歴史を感じました。関東にも歴史ある観光名所がいくつかありますが、やはり「歴史」の点で負けています。近畿には勝てません。その為、修学旅行でも、家族旅行でも、日本人として1度は京都・奈良や近畿の観光地は訪れるべきだと、熊野に来て初めて感じました。

 事故もなく、行程も比較的スムーズに消化できましたが、紀伊半島は半島と呼ぶには大きすぎます。特に房総半島や伊豆半島に慣れてしまっている東京周辺の方々要注意です。レンタカーで回る場合、十分に所要時間を計算しないと、レンタカー返却時間までに返せないと言うことになりかねません。
 特に伊勢から白浜の間は、道路もカーブが多く、鉄道も減速している為、車でも鉄道でも距離の割には時間が掛かります。ところどころに「ミニ新幹線を!」と言う看板がありましたが、ミニ新幹線が運行されても、カーブが多いクネクネした線路では、スピードも対して出せず、根本的な解決にはなりません。あまり地方に高速は必要ないと言う考えの持ち主ですが、南紀の観光客誘致には、山をトンネルで貫いて、まっすぐな高速道路を作るしかないと感じるほどでした。
 気になる費用ですが、飛行機も安い運賃を使い、旅館も安い所でしたので、レンタカーを使っても、旅行費用的には1人7万円程度でした。

 神社などの観光地を限られた時間や日数でご旅行される場合は「お祭り」の日に重ならないよう注意することが必要です。道路が大変混雑し予定通り行程が進みません。事前に神社などのHPでお祭りやイベント日程を確認しましょう。
 もちろん、お祭り目当てで訪れる場合は、現地を通過ではなく、現地に1泊するくらいの余裕を持った行程で早めに宿泊(旅館など)を予約しましょう。


関東周辺 子供と温泉だよ